メンブレンスイッチ 表面シート印刷

Printing for Membrane Surface Sheet

スクリーン印刷のイメージ画像

産業機器、FA機器、医療機器に取り付ける銘板(弊社では表面シートと呼称)やメンブレンスイッチの表面部分は、主に2種類の印刷方法があります。弊社では両方とも製作可能ですが、その2種類の印刷方法の主な特徴とメリット・デメリットをご説明いたします。

スクリーン印刷とは

スクリーン印刷は、孔版(こうはん)印刷の一種です。孔版印刷とは、版自体に穴をあけそこからインクを擦りつける(落とす)印刷方式です。

スクリーン印刷は、印刷に不要な個所を乳剤で固めた絹のスクリーンにインキをのせ、スキージ(ゴムのへらのようなもの)で擦ることで、印刷物にインキを転写します。

その昔は印刷版のスクリーンに絹を使っていたため、「シルクスクリーン印刷」と言われていましたが、現在では絹は使わず、ナイロン・テトロンなどの化学繊維やステンレスなどで織ったスクリーンが主流です。その為、近年では“シルク”がとれて、単にスクリーン印刷と呼ばれることが多いです。

スクリーン印刷は、基本的に1色ずつ違う印刷版で印刷していきます。デザイン的に色同士が隣り合っている場合(通常はそのようなデザインが大多数)、色同士を少し重ねて印刷します。そうしなければいけない理由は、1色1色をデザイン通りの位置で印刷することが難しいためで、色同士を重ねることで少しずれてもデザイン的に問題ないように印刷しております。

透明なPETやPCフィルムへ印刷する場合は裏面からの印刷になりますので、原則、濃い色から印刷していきます。(白・赤・黒の3色のデザインであれば、黒→赤→白の順番)

一方、板金や樹脂筐体へ印刷する場合は表からの印刷になりますので、原則、薄い色から印刷していきます。(白・赤・黒の3色のデザインであれば、白→赤→黒の順番)

スクリーン印刷で使用するインキは基本的にお客様からのご要望のあった色(DICやPANTONEなどの色指定)で新たにインキを製作(調色)いたします。色指定が特にない場合は、標準で使用しているインキを使用させていただいております。

実際にスクリーン印刷をする際には、スクリーン印刷機と印刷版と印刷物がきちんと合っているかを確認する作業が必要となります。これを印刷前の“段取り作業”と呼び、印刷数量が多くても少なくても、段取り作業には一定の時間が必要となります。

そのため、印刷数量が少ない場合は製品1台あたりのコストは割高になり、印刷数量が多ければ割安になります。

インクジェット印刷とは

正確には「UVインクジェット印刷」といい、15~20年ほど前から採用され始めた印刷方法です。基本的な印刷方法は家庭やオフィスで使用しているインクジェットプリンターと変わりませんが、使用するインクがUV(紫外線)で硬化するものになっています。

紙タイプのインクジェットプリンターと同様、印刷するデータ(イラストレータデータ)から直接出力できるのが最大の特徴で、スクリーン印刷のような製版用フィルムや印刷版は不要です。また、フルカラー印刷がベースなので、色が多くても少なくても印刷時間は変わりません。インクジェットプリンターの場合、インクジェット印刷特有の筋が出ることがありますが、弊社の独自技術とプリンターの性能向上により、色味やデザインによってはスクリーン印刷と見分けがつかないほどの高品質な製品をご提供できます。

一方、インクジェット印刷の苦手なところは、色の表現力とコストパフォーマンスです。前述の通り、CMYK+白の計5色のみで色を表現しているため、スクリーン印刷のような詳細な色指定に合わせるのは非常に困難です。シルバー・ゴールド・メタリック・鮮やかな黄や赤なども表現できません。

紙タイプのインクジェットプリンターと同じように1枚ずつ印刷するため、スクリーン印刷に比べて1製品あたりの印刷時間が長く、コストも上がります。また、印刷数量が増えても1製品あたりの印刷時間は変わらないため、ボリュームディスカウントがしにくい印刷方法となっています。

上記のような特徴から、インクジェット印刷を採用するのは以下の場合にメリットがあると言えます。

  • 試作のみで量産が決まっておらず、出来るだけイニシャル費を安価に済ませたい場合
  • 量産数量が少ない場合(一般的に100枚以下)
  • 印刷色数が10色以上など、色数が極端に多い場合
  • 試作の納期が短納期の場合

印刷方法の違いによるメリット・デメリット

比較項目 スクリーン印刷 インクジェット印刷
製版用フィルム・印刷版 1色ごとに各1式が必要です。 データから直接出力するため不要です。
使用するインキ スクリーン印刷用のインキ(DICやPANTONEなどの色指定可能です) UVで硬化する特殊なインキ(CMYK+白の5色)
色の表現 1色ずつ調色するため、指定通りの色合いが表現可能です。 CMYKで表現するため、色の表現には限界があります。
印刷時間 印刷の段取り作業があるので、印刷数量が少なくてもある程度の時間を要します。一方、印刷数量が増えるとタイムパフォーマンスが良くなります。 1回の印刷時間はスクリーン印刷よりも比較的長めですが、段取りの時間がかからないので、数量が少なくても増えても1枚あたりの印刷時間は変わりません。
コストメリット 数量が多ければ多いほど、1枚当たりの単価は下がります。 数量が少ない場合、もしくは色数が極端に多い場合、スクリーン印刷よりも1枚あたりの単価は下がる傾向があります。

実績・まとめ

弊社の主力商品であるメンブレンスイッチやキーボードはスクリーン印刷の延長線上にある技術で、弊社では創業当初からこの技術に磨きをかけてきました。メンブレンスイッチやキーボードで培った技術をスクリーン印刷やインクジェット印刷に反映させることにより、更に高品質な製品を提供しております。

  • 樹脂または金属筐体へロゴやデザインなどを直接スクリーン印刷
  • 工業用銘板(PET・PC・PU)の製作
  • メンブレンスイッチの製作(表面デザイン印刷と回路印刷の組み合わせ)
  • カスタムキーボードの製作(キートップの印刷、回路印刷)
  • 車載用などに使用する印刷抵抗付き基板の製作

受注生産について

長野テクトロンでは、様々なメンブレンスイッチをOEMとして受注生産しております。国内・海外問わず、多くのお客様にご利用頂いており、小ロットからでもご注文承ります。
メンブレンスイッチのお見積りには、以下の情報等が必要となります。
ご依頼の際に参考にしてください。

※弊社のメンブレンスイッチは、全てカスタム製品となりますので、製品単価やイニシャル費は、製品の仕様によって異なります。
ある程度(外形寸法など)の仕様が分かれば概算見積りをお出しできますので、全ての項目をお知らせいただかなくても問題ありません。分からないことやお困りのことがありましたら、私たちが解決策を提案いたしますので、どうぞお気軽にご連絡ください。